研究室・スタッフ

 英文研究室について


英文科の中身は、英語学、英文学、アメリカ文学にだいたい専攻が分かれている。「食わず嫌い」はしてほしくないものの、学生諸君には三分野のうちいずれか、好みの専攻の勉強におおむね集中できる仕組みとなっている。そしておのおのが選んだ分野にまつわる卒業論文を仕上げること(分量は、英語の場合 7,500 語程度、日本語の場合 20,000 字程度)で、英文科ライフの「あがり」となる。

英語学は様々な分野に分かれるが、どの分野の研究をするにせよ、言語の一般的性質・仕組みについて正確な理解をもつ必要がある。そのため、授業では、英語の詳細な事実と、その理論上の意味合いを総合的に把握する訓練に重点をおく。その際、日本語との比較も可能な限り試みる。

一方、英米文学は、英米に限らない英語圏全般の文学作品(詩、小説、演劇、批評など)を対象とする。作品テクストの精読と解釈を不動の出発点としつつ、その背景にある歴史をさかのぼって当時の社会や文化の動向に考察の対象を広げることもあれば、児童文学・大衆文学などのいわゆるサブ・ジャンル、あるいは文学と美術や音楽との諸関係などへと射程を広げることもある。


卒業生は出版・ジャーナリズムをはじめ多様な職種でそれぞれに活躍しているが、研究を深めるべく大学院修士課程進学をこころざす諸君も少なくない。大学院進学者の多くは、博士課程進学を目指すが、いずれかの課程において留学する者もさまざまな事情から近年増加している。


研究室スタッフ

後藤 和彦 (アメリカ文学) Kazuhiko Goto

アメリカ文学、特にアメリカ南部の小説を主たる研究対象としている。南部は、自由と平等の国アメリカにあって、戦争まで起こして奴隷制度を守ろうとした土地柄。その土地に、戦争の敗北からほぼ半世紀を経た20世紀前半、突如独特の文学が花開き、すぐれた作家が陸続と登場、この現象は「南部文芸復興(ルネッサンス)」とも称されるが、それはただの偶然だったのか。「偶然」といえば、無論それまでのこと。だが、もしもそれが偶然ではなかったなら、つまり「南部文芸復興」の百花繚乱が長い雌伏のときを経て訪れた南北戦争後の「戦後文学」の暴発なのだとすれば――この「もしも」が私の研究の起点にあり、私の研究をいまだに駆動している――ならば、一般に、戦争と、いや戦争の敗北と文学との関係はいかなるものか、と自然に問いがつながっていったのは、やはり私が敗戦国日本に生まれたからだろうか。こうして戦後文学としての南部文学の秘密を探るべく、これとはあまりに違って見える祖国の戦後文学を横目で見ているうち、昨今ではむしろ南部文学の側を横目で見ているような気もしており、授業中にそのあたりを口走る可能性は高いが、アメリカ小説をできるだけ正しく深く読む努力をするというのがすべての建前であることは言うまでもない。


連絡先:英語英米文学研究室研究室

TEL.03-5841-3830

FAX.03-5841-8965

研究室 3507(3号館5階)

TEL.03-5841-3828

e-mail: kazgoto@l.u-tokyo.ac.jp

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新井 潤美 (イギリス文学) Megumi Arai

専門分野はイギリス文学と比較文学。主な関心はイギリスの「階級」の概念と文学における表象であり、特にイギリスの小説と18世紀以降のイギリスの演劇、文化を研究対象としている。「階級」との関連で、「郊外」「教養」「教育」「消費文化」「観光」「他者」といったテーマをも扱っている。また、文学作品の映像化を中心としたアダプテーション研究、イギリス文学における「日本」の表象、そして最近ではイギリス文学、文化におけるエスニック・マイノリティの表象と受容の研究も行っている。


連絡先:英語英米文学研究室研究室

TEL.03-5841-3830

FAX.03-5841-8965

研究室 3404(3号館4階)

TEL.03-5841-7253

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渡邉 明 (英語学) Akira Watanabe       ⇒ Recent Publications 

生成文法統語論の理論研究が専門。英語と日本語を主たる研究対象とするが、その他の言語との比較も必要に応じて行う。言語の普遍的性質に加えて言語間の違いにも興味を持っており、ここ10年ほどは、程度修飾にまつわるあれこれを解明するプロジェクトを続けている。この研究には、形容詞の下位区分といった今世紀に入ってから注目を集めているトピックも関係し、なかなかやめられない。 


連絡先:英語英米文学研究室研究室

TEL.03-5841-3830

FAX.03-5841-8965

研究室 3505(3号館5階)

TEL.03-5841-3827

e-mail:akirawat@l.u-tokyo.ac.jp

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阿部 公彦 (イギリス文学) Masahiko Abe

専門は英米文学研究、とりわけ20世紀初頭の英米モダニズム期の詩やそれ以降の現代詩を中心に研究している。出発点となる問題意識は、「現代において詩はいったいどのように機能するのか?」 ただし、アメリカとイギリス、詩と小説といった境界を過度に重視することなく、個別のテーマを掘り下げる形での研究を目指している。具体的に現在取り組んでいるテーマに、「メランコリー」、「退屈」、「即興」、「胃」、「行」、「ヒステリー」、「グリッド」などがある。絵画研究など隣接領域との連結も試みる。 


連絡先:英語英米文学研究室研究室

TEL.03-5841-3830

FAX.03-5841-8965

研究室 3505(3号館5階)

TEL.03-5841-3827

e-mail:mabe@l.u-tokyo.ac.jp


Masahiko ABE
Masahiko Abe (1966-) is a professor in English at the University of Tokyo. He obtained his BA and MA at the University of Tokyo and PhD at Cambridge University. His primary research area is modern poetry, both British and American, but his criticism covers many other genres, particularly fiction. His publications include Modernity and the Strategy of Boredom―Oe, Stevens and Avant-garde(2001), Improvisation and Literature(2004), An Introduction to Poetry in English(2007), On Slow Motion(2009), How English Works(2010), Understanding Japanese Fiction: Some Notes and Insights(2012), Staring and Literature(2012), Discovering Poetry(2014), Politeness and English Literature: Examining the Kindness of the Narrator (2015), Talking Like Children Helps: Strategy of Infantilism in Japanese Literature (2015), Playing with the Canon: Introduction to the “Scribbling Method” (2017), and English Education in Chaos: Confusion and Dishonesty in Japanese Government Policy (2017), Classic English Literature Taught in the Classroom (2021), and Words That Make a Difference(2021). While contributing reviews and essays to newspapers and literary magazines, he also works on topics such as politeness, disgust, dyspepsia, paperwork..etc. He is also a translator of Frank O'Connor's short stories and Bernard Malamud's The Magic Barrel. He won the Waseda Literary Award for “Going to the Wilderness” in 1998 and Suntory Prize for Social Siences and Humanities for Staring and Literature in 2013.


Official Website: http://abemasahiko.my.coocan.jp/
Email: mabe@L.u-tokyo.ac.jp

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諏訪部 浩一 (アメリカ文学) Koichi Suwabe

アメリカの20世紀小説を主な研究対象としてきたが、そもそも小説とはいったい何なのかという大問題に関心があり、したがって19世紀小説を無視しているわけではない。この「大問題」を、個々の文学作品をどうすれば面白く読めるかという実践において考えるのが、当面の方針ということになる。教員の「文学」へのそのような関心は、授業にも当然反映されることにはなるが、それぞれの作品を、それぞれに相応しいスタンスを模索しつつ読んでいく以上、アプローチは限定的というより包括的となるはずであり、そのようにいわば柔軟性を強制する形で受講生自身の問題意識を拡大深化させることを目標としたいと思っている。 


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TEL.03-5841-3830

FAX.03-5841-8965

研究室 3504(3号館5階)

TEL.03-5841-3830

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中尾 千鶴 (英語学) Chizuru Nakao

専門は生成文法統語論。言語における文法規則の言語間変異を、主に日本語と英語の比較を通して探っている。特に、文における語の移動や語の削除(省略)の規則について、それぞれの構文がどのような場合に認可されたりされなかったりするのかを言語ごとに考察している。また、子供がどのようにそれぞれの母語の規則を習得するか、子供の文法と大人の文法がどのように異なっているかといった言語獲得に関する問いにも興味がある。 


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TEL.03-5841-3830

FAX.03-5841-8965

研究室 3507(3号館5階)

TEL.03-5841-3828

e-mail:cnakao@l.u-tokyo.ac.jp

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Barnaby Ralph (イギリス文学)

My main research interest is to do with early modern literature, culture, and comparative aesthetics in Britain. To that end, I often work with rhetorical texts from the seventeenth and eighteenth centuries, which offer useful insights into not only novels, plays, and poetry, but also a broader range of arts such as music, painting, and architecture. Aside from this, my teaching includes courses on critical theory, regional literatures, writing technique, and research methodologies at both the undergraduate and postgraduate levels.


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研究室 3504(3号館5階)

宮川 美也子 (事務補佐員) Miyako Miyagawa       

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英文研究室 3503(3号館5階)

TEL.03-5841-3830

FAX.03-5841-8965